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九州大学 教授 笹木圭子様

地球を「1つのシステム」として捉え、地下資源ができる要因や修正メカニズム、探査、開発、生産、処理、利用、環境保全・修復、さらにはリサイクルに至るまでの一連の地球システムを構成する技術を学ぶことができる九州大学の地球システム工学コース。
7つある研究室のうち、今回は「資源処理・環境修復工学研究室」の笹木教授にお話を伺いました。

九州大学の創立と共にできた、
100年以上の歴史を誇るコース

大学創立当初は「地球システム工学コース」という名前ではありませんでしたが、もともとは産業動脈の血であった石炭産業の指導者を育成するために国がつくったコースなんです。明治時代、どこの帝国大学にもこのコースは設けられていましたが、専攻の枠として今も残っているのは、全国で北海道大学と秋田大学と、この九州大学だけ。名前はイマドキですが、実は歴史あるコースなのです。

「資源処理・環境修復工学研究室」
で学べること

地球資源や廃棄物から使える資源を選別したり、わたしたち人類の文明によって生じた地下水・土壌汚染など環境を修復する技術を学び研究しています。
地質学・探査工学のイメージが比較的強い「地球システム工学コース」の中では、注意深くモノを観察したり、手を動かして実験をするなど、化学や微生物学実験が多いのが特長です。

例えば10円玉でおなじみ「銅」は、銅鉱石を掘り出して使える銅を選別し、精製することで銅の純度を上げていきます。ただ、銅を採掘する時にヒ素など人間のカラダに有害がものも一緒に掘り起こしてしまうんです。資源産出国は海外にあるため、国際的信頼関係を維持しながら、継続的に事業を行うことは非常に重要であり、採掘する時に有害なものが拡散しないようにする技術や、有害なものを採掘しないようにする産出の技術が必要とされています。

「資源処理・環境修復工学研究室」では、これらの資源分離・精製技術の開発や、微生物機能を利用した持続可能な環境修復技術について、実験的な研究を進めています。

リサイクルも含め、
環境修復に興味を持つ学生が所属

日本で暮らしていると、環境汚染を目の当たりにすることは少ないと思います。でも海外に目を向けると、実は深刻な問題です。

例えば、パソコンやスマホが越境移動して、これらの機器を分解して金属を売るアフリカの子どもたちがいます。その工程の中で水銀に触ったりすると水銀が体内に吸収され水銀中毒にかかるなど、健康影響が危惧されています。

こういう現状を知り、地球や環境について興味を持つ学生、または技術を学んで自分の国に持ち帰りたいという留学生が研究室に多く所属しています。

「資源処理・環境修復工学研究室」
を卒業した学生たちの進路

在籍する学生たちを大きく分けると、海外志向の強い学生と、技術職・研究職として働きたい学生、母国で研究者となることを望んでいる留学生に分かれています。
海外志向の強い学生たちは、日本企業や海外企業に就職し、海外の人と一緒に仕事をしたり、外国語を使った仕事に就きたい人が多いようです。
ただ、大学3年生でこの研究室に入る人のうち95%の人が大学院に進学をするので、技術者や研究者を目指す人がほとんどです。

大学3年生の夏から
2~3週間のインターンシップができる

国際色を感じて入って来る学生も多い「資源処理・環境修復工学研究室」ですが、大学3年生の夏休みと、修士(大学院)1年の夏~秋にかけて、1人1ヵ所・約2週間のインターンシップを行なっています。行き先は、国内や海外にある石炭や金属、石灰石、石油・天然ガス、地熱、砕石、リサイクル、水処理など資源・環境を扱う企業や大学。

インターンシップ期間中は、受け入れ先企業の日常業務をお手伝いしながら、資源開発に関わる一般的な説明や現場が抱える技術課題などについても詳細な説明を受けることができ、日頃の講義では知ることができない知識を身につけることができます。

海外でのインターンシップを希望する学生には、外国人教員による実用英語の講義をサポート。現場で必須の実践英語能力の強化を図っていきます。

高校生のみなさんへメッセージ

分野別・世界大学ランキングで、エネルギー・鉱物資源に関する研究において九州大学の「地球システム工学コース」は、2018年は世界23位、2017年は24位と、日本の大学の中では連続1位を獲得しています(目指すは世界トップ10!)。
インターンシップでは、世界1位など上位ランキングとなった大学への研修も奨励しており、また日々多くの研究者が海外から九大へ訪問に来ています。修士になると、海外(国際会議)で論文を発表できる機会もあります。 国際会議は各国が持ち回りで行なっており、2019年10月は日本(アクロス福岡)で開催。国際会議では世界30ヵ国から研究者(先生や学生)が集まります。

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