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東京都立大学 教授 横山 勝英 様

東京工業大学土木工学科卒業後、東京工業大学大学院総合理工学研究科で環境物理工学を専攻し、博士号(工学)を取得。建設省(現・国土交通省)土木研究所河川研究室研究員などを経て、2005年、東京都立大学都市環境学部 都市基盤環境コース准教授、2017年より教授。

先生の研究について、概要を教えてください。

山に降った雨は川に流れ、海へ流れます。その過程で私が研究しているのは、水がどう動くのかという「水の流れ」と、一緒に運ばれる土砂や水中の栄養分などの動きです。そして、水の流れ、土砂、水中の栄養分などが、生物の生息状況にどう作用するのかを、数学と物理で解明していきます。生物の専門家と連携しての調査・研究も多く、例えばプランクトンや魚類の発生メカニズムや行動に関しては生物の専門家が調査し、私は物理的な水の動きとそれに対する生物の動きを調査するという具合に協働しています。 私の主な研究対象は河口域と、ダムの貯水池です。この2つは水の流れが遅くなるところで、森から川を通じて運ばれる物質や、海からの物質がたまりやすいという特徴があります。 昨今、地球温暖化による異常気象で、河川の氾濫による水害が各地で起きています。そのため、水害対策として川を直線化し、深く掘り、護岸をコンクリートで強化する整備が進められています。水害対策は重要ですが、水の流れが変わることは生物には好ましくない場合もあります。防災と生態系の保全をどう調整し、いかにして水の環境をよくするか。この課題に向き合いながら研究しています。

研究はどのような方法で行われるのですか?

現地観測と、研究室での数値シミュレーションです。 研究室の学生と一緒に河口域やダムに出かけて小型船に乗り、調査をします。船には計測器のほか、パソコンも積みます。観測地点で船を停め、計測器を水中におろして塩分濃度、流速、濁度、土砂濃度などを測定します。計測器はパソコンとつながっていて、パソコン画面で水中の様子を確認しながら調査を進めます。 そうして得たデータをもとに、数値シミュレーションで詳細に解析していきます。

主な研究対象地とテーマを教えてください。

国内では4ヵ所です。北から順に「宮城県気仙沼湾と西舞根川流域での東日本大震災からの環境再生・保全」「東京都の小河内ダム貯水池の水質対策と、多摩川上流域の森林管理に関する研究」「東京都の石神井川河口域でのスカム(川底に堆積した汚泥が水面に浮上したもの)と悪臭の抑制対策」。そして「福岡県筑後川河口域の塩水遡上と地形形成、汽水魚の行動」です。

研究を通じて、東日本大震災の復興支援にも関わっているのですね。

宮城県の気仙沼湾は古くからのカキ、ホタテ貝の養殖場ですが、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、甚大な被害を受けました。復興支援の一助になればという想いで、震災直後からカキ養殖場の水質調査などに携わっています。震災後に問題になっているのは貝毒プランクトンの発生です。貝毒プランクトンはカキやホタテなどの二枚貝が餌として摂取することで、毒素を蓄積します。それを食べた人間は食中毒などを起こしたり、死亡する場合もあるので、地元自治体では貝毒対策に注力しています。私も生物の専門家と協力し、貝毒プランクトンがどう発生してどう動くのか、解明に向けて研究を続けています。 また、東日本大震災による地盤沈下で、気仙沼湾奥部に塩生湿地が出現しました。その湿地にはさまざまな生物が育っているので、生態系を豊かに育んでいけるよう、研究に取り組んでいます。

ワークステーションはどのように活用しているのですか?

数値シミュレーションは、ワークステーションで行っています。私の研究室では3次元流体シミュレーションを行っているので、計算の量が膨大です。さまざまな数値計算を行うため、1年中、パソコンを稼働させなければなりませんが、ワークステーションが長時間、安定して動いてくれるので助かります。安定性とコスト、メンテナンスといった3つにおいて、現在使用している製品はバランスがとれていると思います。 2年ほど前からは水産庁の依頼で、ミャンマー南部のタニンダリー川河口域の研究に着手しています。これはミャンマーの方が今後、カキ養殖事業を展開してゆくための国際協力プロジェクトで、カキ養殖に適した流れと塩分濃度がどの場所にあるのか、現地調査と三次元流体シミュレーションにより探しています。その一環で、私の研究室ではミャンマーなどアジアからの留学生を受け入れています。留学生には現地観測のスキルとともに、ワークステーションでの高度な数値計算のスキルを教えています。私の研究室で存分に学び、自国の水産業発展に活かしてほしいと願っています。

 

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