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福岡大学 工学部 社会デザイン工学科 柴田久先生

Fukuoka University

空間デザインから考える居心地の良い「まちづくり」のあり方とは

Shibata Hisashi

柴田 久 先生

福岡大学工学部社会デザイン工学科柴田久教授。研究分野は普段何気なく過ごしている公園や橋、交差点などといった公共空間のデザインに関する研究。グッドデザイン賞、土木学会デザイン賞最優秀賞、福岡市都市景観大賞など数多くの賞を受賞。代表的な実績例としては、福岡市天神地区の中心部にある、警固公園のリニューアルデザインや、大分県昭和通交差点のデザインなど、また海外ではコロンビアでのデザインに携わるなど幅広い活動をされている。

公園や交差点の気づかない心地よさをささえる、「空間デザイン」の専門家柴田先生
知ると面白い研究内容と、実践的な研究室の様子を紹介!

公園の治安や、地方都市の商店街のにぎわいなどに直結する、空間デザイン。
普段利用する私たちはあまり意識をしないが、周辺を俯瞰して考え抜かれたデザインにはたくさんの秘密と効果が隠されている。
自治体・企業と協働で取り組み多くの実績を残す柴田先生に、空間デザインのおもしろさと、実際のプロジェクトに参加していく研究室の魅力について話を伺った。

—柴田先生の研究内容について教えてください。

「公共空間のデザイン」「まちづくり」とは何か。
建築というと家や建物をイメージしやすいですが、私たちが普段何気なく利用している公共施設は割と見過ごされがちです。
公共空間は土地の地域性や人の動線など、実はすごく考えて作られていて、工夫すればするほど、街並みや空間がよりよいものとなっていきます。
公共空間には器や地域らしさといった様々なデザイン上の工夫が施されています。

福岡市天神地区の中心部にある、警固公園の活動を例にとると、
整備前の警固公園は多くの暗がりや死角が存在し、落書きなどの迷惑行為や犯罪行為などが行われていました。
ただ防犯上の問題を解決するだけでは抜本的な解決にはなりません。
見通し改善だけでなく、公園内と周囲との「見る・見られる関係」をいかに作り出し、魅力的に見せるかが重要です。

犯罪の温床となっていた築山を撤去し、中央園路を新たに設置、カフェ前面には高木の設置を控えるなど、お互いに見る・見られるの関係から、防犯上の問題解決だけでなく「後で行ってみよう」といった相互の来店/来園の促進を図っています。

他にも、中央広場ではイベントスペースを設けていて、イベントに使えるだけでなく、向かい合って座れるような工夫が施されています。
表情の識別限界12m、顔の識別限界24mを超えた約30mの距離を設けることによって、他人の視線が気にならない空間規模を確保しています。

また、リニューアルする際、以前の空間や場所に思い出や愛着を持っていた人たちはどのように思うかなど、すべてリニューアルをしては、そこに対する親しみが離れてしまう可能性が考えられます。
そのため、警固公園では多くの利用があった自然石ベンチは、段差をなくすバリアフリー整備を施したうえで、再設置する工夫をしています。
整備前後の利用者や市民の思いなどのつながりが「人が人を呼ぶ」状況を作り出し、良い街づくりを実現させています。

公園の再整備から約1年後には隣接するソラリアプラザが公園側の外壁を改修し、1階から6階までの外壁をガラスにしました。
これによりプラザ内のカフェや飲食店は警固公園が一望できる場所へ移転をし、移転前と比べて売り上げが約1.5倍になったところもあります。
警固公園の再整備が治安改善とともに、周辺への経済的、空間的な波及効果をもたらしています。
問題解決だけでなく周囲への波及効果まで、まち全体の「にぎわい」の再生につながってこそ本当の都市活性化と考えています。

—研究室について教えてください。

実践的で現場主義。
実際のプロジェクトに学生も参加し、行政の方や技術者の方と直接話しながら研究に参加できる、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを取り入れています。
机上で研究するだけでなく、実際のプロジェクトに参加することで、多くの知見を得ることができ、また、学生が提案企画したデザインも教授と一緒に取り組むことで、実現したやりがいや楽しさ、実績を積むことが出来るアクティブな研究室です。
警固公園の一部にも学生がデザインした透明のサインが採用されています。

—福岡大学の魅力は?

多くの学部が1キャンパスでまとまっていることですね。
福岡大学は2万人に上る学生数を誇っていて、サークルや学内の活動・学習を通して多くの人との交流を持つことができるのが魅力です。
さらには、大きなキャンパスに内包する施設力の高さ。
6つもある図書館や、各種専門の研究施設だけでなく、コンビニや学食も数箇所にあり、キャンパスだけでひとつの街のような施設の多さも魅力の一つです。
また、都心が近く交通アクセスも非常に良いため、バイトや遊びにも困りません。
勉強・遊び・友人関係において充実した生活が出来るのは福岡大学の強みですね。

—高校生へ伝えたいことは?

勝手に自分の可能性を狭めないで欲しいです。
自分は向いていない、できないとか勝手に決めつけている学生が多いように感じます。
研究室でも「できないと思っていることができた」「向いてないと言っていて、やっているうちにのめりこんで専門職になった」などの学生を多く見てきました。
高校生はその情報をほとんど知らない状況で受験になってしまうので、これは自分に向いてないとかで外してしまうのではなく、とにかくフラットな形で多くの情報に触れ、自分の可能性を信じて行動するのが良いと思います。

普段何気なく見て、過ごしている空間も、すごく考えて作られています。
逆に普段の空間も考えることによって良くなっていくものです。
そういった気づかない場所で居心地を良くする仕事をしている人、研究をしている人、自分が知らない、見えていないところにもたくさんの仕事や人がいるということを知っていただきたいです。

柴田先生の空間デザイン、景観デザインは建築とはまたちがった側面から空間設計を行うもので、お話を聞くと普段考えることのなかった公共空間のちょっとした工夫なども楽しめるようになった。
先生の出版された書籍「地方都市を公共空間から再生する 日常のにぎわいをうむデザインとマネジメント」では、景観設計、公共空間のデザインについて書かれており、大変人気でAmazonの売れ筋ランキング1位をとったこともあるほど。
景観デザインや地方都市について、警固公園を作った経緯、細かな工夫だけでなく、日常でもつかえる考え方も記載されているため、非常におすすめの1冊!
警固公園に隠された幸せになれる秘密についても本書で包み隠さず紹介されている。

研究室の先輩たちの主な進路先

福岡市役所、県庁、建設コンサルタント、ゼネコン、建設会社

福岡大学工学部社会デザイン工学科景観まちづくり研究室

福岡市城南区七隈8丁目19-1 工学部5号館 別館3階
http://www.tec.fukuoka-u.ac.jp/tc/labo/keikan/home.htm

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