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九州産業大学 建築都市工学部 都市デザイン工学科 林 泰弘先生

Kyushu Sangyo University

「縁の下の力持ち」構造物を支える地盤工学のスペシャリスト

Hayashi Yasuhiro

林 泰弘 先生

九州産業大学 建築都市工学部 都市デザイン工学科 林泰弘教授。
私たちの暮らしに欠かせない道路や建物などの社会基盤施設を支えている「土」や「地盤」に関する研究。

地盤工学を駆使して社会基盤施設を支えている林先生の研究。土を扱う研究室の魅力について聞いてみよう!

普段何気なく利用している道路や建物。
地震や土砂災害などに備えて、被害を軽減・抑制できるよう社会基盤施設を支えているのが地盤工学という分野。
後世に渡って人々が安心・安全にくらせる環境を目指すそんな林研究室の「地盤工学」の魅力について話を伺いました。

―林先生の研究内容について教えてください。

私の研究は「地盤工学」という土木系の分野で、土や地盤を対象としたものです。
土木の構造物と言えば、橋や堤防、道路などをイメージすると思いますが、それらを作ろうと思ったときに地盤を掘ったり土を盛ったりする工程があります。
私の研究室では主に建設工事や災害によって発生する土に関する研究をしています。

発生土の中でも、(再利用など容易にできる)良い土はそのまま材料として使われますが、「捨てるしかない土」というのもあります。私はそういった「捨てるしかない土」を「捨てずに使う」ことを目指しています。
コスト面で考えたときに、土は比較的安く買えますが、実は捨てるときにはずっと高い費用がかかります。例えば、ある工事でそのままでは使えない土が発生するとき、代わりの土が1000円で買えたとしても、余った土を捨てるのに5000円かかったりします。また、新しい土を山から掘り起こして使うときには環境的にも影響があります。ですから使えない土を2000円かかるとしても改良して使えるのであれば、買わず(捨てずに)使ったほうがいいという考え方です。

このような理由から、工事などによって発生した不良な土に手を加えて、建設材料として使えるように改良するのが私の一番大きな研究テーマです。また、改良のための材料も廃棄物を使ってできないか、例えば火力発電所から出てくる石炭灰などを使用して土の改良ができないか、ということも研究をしています。
それぞれの地域や場所でいろいろな特殊な土が出てくるので、それを題材にして「不良な土」を「使える土」にリサイクルをするようなイメージですね。

私のすべての研究テーマを企業と共同で進めていますが、目指している研究成果は企業の目的によって異なります。
例えば、「改良するための材料の開発をしたい」「改良した土をこういうところで使いたい」あるいは「自分の現場で不良土が出てきてしまうので、捨てずにどこかで使いたい」といったように、状況により企業目的は様々です。
今、共同研究しているテーマでは、土を改良する材料を開発しているメーカーや、シールド工事や骨材を作るときに出てきた泥土の処分に困っている会社、火力発電によって発生する灰を捨てずに有効利用したいという企業などの方と一緒に研究しています。

土を改良して実用化するまでには、短くても3年くらいかかります。研究の成果をできるだけ世の中で使ってもらいたいと思っていますが、実際に工事をする方にはなかなか使ってもらえません。研究成果をどれだけ信頼してもらえるかということが重要ですね。
業界全体としての研究レベルが上がってくることで、選択の幅が広がると考えています。リサイクルした土は道路の下や堤防などに使われることが普通になるというのが一番の目標です。

―研究室について教えてください。

 当研究室は実験を主に行っており、コンピュータを駆使して複雑な数値的解析をするということはあまりありません。
実際に取ってきた土の性質を分析したり、配合試験を行って改良した土の強度や環境特性などを調べるということを学生それぞれが、自主性と目的意識をもちながら楽しく和やかに実験を行っています。

研究過程では、実際に土に触れてみて、どのように処理をしたら良い土ができるのかということを教員だけでなく、学生同士や企業の方とも一緒に考えながら実験を行います。まさに「泥臭い」研究ですが、体感することで得られる知識はしっかり自分の身につくと思います。
一つの研究課題を何年か継続して取り組んでいくので、今現状としてここまではわかっているから、ここから先こういうことが知りたいという課題を洗い出して、その中から学生が興味のあるテーマに取り組んでもらっています。

―九州産業大学の魅力は?

 意欲がある学生に対してはすごく恵まれている環境です。
サポート体制がしっかりしているため、意欲がある学生には多くのチャンスがあります。
ヤル気のある学生には周りの教員やスタッフの方もすぐ目をかけるので、実際に何かに挑戦したり、広く深く経験を積むことができます。しっかりと学んだ学生は希望する職種や企業に就職することができています。

―高校生へ伝えたいことは?

 高校生が進路を決めるときに偏差値や名前、単に家から近いとかで何となく大学を選ぶことがありがちです。「将来こういう〇〇になりたいから」「△△について勉強したいから」「(勉強以外にも)□□ができるから」といった目標を持ち、夢や希望が叶いそうな大学を選んでもらうといいかなと思います。
そうすれば、しっかりと勉強したうえでより充実した学生生活を過ごせると思います。

建築コンサルタントとして自分にしかできない仕事を任される、そんな技術者になりたいです

大学院工学研究科
産業技術デザイン専攻土木デザイン分野
修士課程2年
赤司 かがり さん

学んだ知識を活かして大牟田市の発展に貢献したいです

工学部
都市基盤デザイン工学科
4年生
猿渡 拓海 さん

Q 研究室の魅力は?
A 自主性を重んじる研究室です。
自分がやりたいこと、考えたことをそのまま研究できます。
先生との距離が近いため、実際に先生へ説明しに行き、色々と相談しながら自分のやりたいことをやりたいようにやらせていただいています。
また、資料だけではなく、実験することによって体で覚えることができるので、すごい身になる研究室だと思います。
Q 現在、何の研究をしていますか?
A 土の酸性化を抑制する研究をしています。
工事によってもともと地下にある土が堀り起こされ、大気に触れることにより土が酸性化してしまいます。研究対象としている土は黄鉄鉱を含んでいて、空気に触れると徐々に硫酸に変わり、ヒ素が溶出してしまう可能性があるため、溶出を抑制させて酸性土になる前に食い止めようという研究をしています。
A 沖縄県にある土を研究しています。
沖縄県というのは、関東や九州といった沖縄本島の外から土を持ってくるのが制限されているため、沖縄県内で建設工事する場合は、沖縄県の土を使って工事をしないといけません。
そのため、建設工事において土が足りなくなることが多々あります。
現在実際に使えない土を使えるようにして、地産地消を目指して研究を進めています。
Q 将来の希望は?
A 希望する就職先が市役所なので、市民の為に働きたいです。
インフラ整備や都市の繁栄に直接に関わるため、今まで学んだ知識を活かして大牟田市の発展に貢献できればなと思っています。
Q 高校生へのメッセージをお願いします。
A 基礎を固めることが重要だと思います。
基礎がわかっていないと応用の部分が全く発想できず、仮説を立てることもできません。
とにかく勉学の面でもしっかり土台を作ってほしいです!

研究室の先輩たちの主な進路先

建設コンサルタント、建設会社、地方公務員 (土木技術系)

〒813-0003 福岡県福岡市東区松香台2丁目3−1
http://ras.kyusan-u.ac.jp/professor/0003440/profile.html

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