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九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座 馬奈木 俊介先生

Kyushu University

「真の豊かさ」をカタチにして暮らしやすい社会の実現を目指す

Managi Shunsuke

馬奈木 俊介 先生

九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座 教授。九州大学都市研究センター長 & 主幹教授。国連「新国富報告書2018」代表、OECD貿易・環境委員会副議長、経済産業研究所フェロー、東京大学客員教授を兼任。

経済学と工学という2つの領域から、都市政策にアプローチする馬奈木先生の研究。
その魅力について聞いてみよう!

住みやすい街、幸せな暮らしとは何か。
これまでに曖昧にされていた「豊かさ」を具体的に数値化し、経済と技術の観点から“持続可能な社会”の実現を目指しているのが、馬奈木俊介研究室。
先生が研究する都市システム工学や、新たな経済指標「新国富」について伺った。

—馬奈木先生の研究内容について教えてください。

大きく言うと、都市のレベルを上げる研究をしています。最近は日本のあちらこちらで自然災害が多く発生していますよね。
そこには市街地の土地が高いという理由から、山沿いや沿岸部へと家を建てる人が増えはじめたという背景があり、その結果、津波や土砂崩れに遭遇して命を落とす人も少なくありません。
地盤の強さなどの土木工学の知識があれば、事前に災害を防げていたかもしれない。
つまり、「人々がここに暮らさざるを得ない」という経済的な背景と、「地盤が弱いからこの土地には住まない方がいい」という技術的な知識の両方がわかっていれば、安全で快適な暮らしを確保できる可能性があるのです。
そのように、この研究室では自然災害、人口減少、高齢化、エネルギーの枯渇など、現代の都市が抱えるさまざまな問題に対して、経済と工学(技術)という2つの視点から市場、政府、市民の役割を明らかにし、継続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
継続可能な社会を実現するためには具体的な目標が必要です。国の豊かさを表すためにGDP(国内総生産)が使われていますが、これはモノやサービスの量を表すもの。森林伐採が行われて環境が破壊されていても、破壊活動をしたトラクターの動きでGDPは増えてしまいます。
つまり健康や自然の価値を含めた“真の豊かさ”を測ることはできません。そこで私は、真の豊かさを表すことができる「新国富」の研究を進めています。
これは建物などの「人工資本」、教育、健康などの「人的資本」、農地、森林などの「自然資本」を金銭的価値に換算(数値化)する指標です。
高いほど持続可能な成長力があり、真の豊かさを示すことができるとされています。
将来的に、国や自治体が「目標は新国富指標の数値を上げること」と言えるようになればと思っています。
実際に、福岡県の久山町や宮若市、山口県の防府市などの自治体と協力して、新国富を基にした都市計画プランの作成を進めているところです。

—この研究をするに至った経緯は?

現在は九州大学工学研究院で都市システム工学の教授をしていますが、大学生時代は工学部で土木工学について学んでいました。
3年生の時に大学院1年生に飛び級をして、2年間の修士課程を経てアメリカに渡り、経済学を学びました。
なぜ工学から経済学へ分野を変えたのかと言うと、社会を動かすには経済的な視点が必要だと思ったから。
修士課程では下水道処理の研究をしていたのですが、技術開発をしている人が「この技術は優れている」と自信を持っていても、都市の規模や予算、政治的な問題などが絡み、受け入れられないことがあると知りました。
技術者には経済のことが分からず、経済が分かる人は技術のことが分からないから政策だけを述べる。
だから技術も経済政策も分かれば完璧ではないかと思ったのです。
アメリカで経済学を専攻し、博士号を取得しました。

—学生たちに求めることは?

最近の学生に多く見られるのは物知りなのに内容が薄いということ。
今はインターネットですぐに何でも調べられる時代なので、上辺だけの知識はたくさん得ることができますが、核心をつかれると答えられない。
だから、学生のみなさんには何かここだけは人に負けない、という尖った専門性を身につけてほしいと思います。
そして本をたくさん読むこと。
私も大学に入ってから、月に数十冊ほどのペースでたくさんの本を読み漁りました。
できれば高校生のうちから、幅広くいろんな本を読むといいですね。
実は私が経済学に興味を持ったキッカケも本だったのです。
それは大学3年生の時に読んだ中国のダムに関する本で、ダム作りには技術だけでなく人権、環境、インフラなどさまざまな問題が絡んでいることを知った私は、技術だけでなく経済政策も学びたいと思いました。
ぜひたくさん本を読んで自分の進みたい道を見つけ、深めていってほしいと思います。

『研究機関で政策評価する仕事に就きたい!』

工学府都市環境システム工学専
(博士課程2年)
伊川 萌黄 さん

『研究をしながら教育もできる大学教授になりたい!』

工学府都市環境システム工学専
(博士課程1年)
熊谷 惇也 さん

Q 研究室を選んだ理由は?
A 先生はもちろん先輩方の多くが、環境エネルギー問題が人々や都市にどういう影響を与えているかを研究し、分析していること。
私もそのような分析力を身につけたいと思って、この研究室に入りました。
Q 現在、何の研究をしていますか?
A 国際幸福度調査データを使い、エネルギー貧困が幸福度にどんな影響を与えるかを分析しています。
例えば、電気代が払えないからエアコンを十分に使えない状態(エネルギー貧困)など数字で表せなかったものを数値化して、政策評価に役立てたいと思っています。
Q 研究室の魅力は?
A 研究室のメンバーが約30人と、人数が多いこと。
いろんな人とコミュニケーションがとれて、研究の意見交換をすることができます。
留学生の数が多いことも魅力的です。
中国、アメリカ、アフリカなどさまざまな国の人がいるので、国際的な環境で研究ができることがメリットになっていると思います。
Q 高校生へのメッセージをお願いします。
A ネットを駆使して学校の情報をリサーチすることも大事ですが、そこにいる人に会いにいって、生の声を聞いて欲しいと思います。
大学に入って研究室を選ぶ際も、先輩や先生に会いに行って、たくさん質問することが将来に役立つはずです!

研究室の先輩たちの主な進路先

国交省、トヨタ自動車、日産自動車、みずほ総合証券、毎日新聞、JTB、富士通研究所

九州大学 伊都キャンパス
九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座

福岡市西区元岡744 West2号館1036室
http://www.managi-lab.com

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